各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第37回)
住宅金融支援機構 東海支店長賞/知県森林協会長賞
江南の家

設計当初、敷地の東隣と南隣は建設予定として空地だった。そこに建つだろう住宅の規模は予想できるものの正確ではない。そこで外部環境に左右されない光の様を自力でつくることにした。北側の道路は交通量が多く、また駐車場を広く取る必要があったため、建物は南側に寄せて配置し、入るか分からない南東からの直射光はアテにすることをやめた。低天井の籠るようなリビングを中心にその南北を吹抜けで挟み、それは建築面積の半分近くに及ぶ大きさをもち、3層の梁を格子状に組むことで荷重分配と水平剛性による主構造の安定化を図った。この格子梁にハイサイドからの天空光が当たり拡散され、柔らかな光と影が頭上に浮遊し、その下の暗がりをもつ落ち着いた居場所とした。目の前にあるはずの光の存在を認識するためには、反射吸収する何物かが必要だ。大気中のチリなどがそれにあたるが、それを建築スケールまで拡大させるように、構造材にその役割を担わせた。格子梁は、玄関・ダイニングキッチンからそれぞれ前庭・主庭へと連続し、室内と庭は光の具合によって結ばれ、建物全体に変化と一体感を共存させた。

およそ60㎥という住宅としては比較的大量の木材を扱うこととなった。製材工程の歩留まりを考慮すると原木換算では100㎥を超え、本数にして300本近い樹木からつくられた住宅というわけだ。天然乾燥材は油分を残したまま水分だけを抜くため、構造としての粘りのほか艶や肌触りもよい。一方で建築界の外に出ると乾燥方法による違いどころかその存在さえ認知度は低く、また扱いに技量を要することや、保管スペースの問題から、流通としては下火だ。この先、良材が私たちの手元に届かなくなっては困る。材の出自と特性が設計の可能性を広げるものとなるよう、金物を使わない手刻み木組みの大工技術による木架構として、不易流行を貫く姿勢を示した。

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設計者:タソ建築アトリエ/関谷 涼太

講評:審査委員 安藤 春久

江南の家は今後の周囲の環境の変化に影響される事の無いように、建物内に独自の外部空間を設けた計画としている点で、独自の環境を作り出した住宅であった。

内部空間は、圧倒的な木材の使用量で構成されている住宅であったが、木材の持つ香りや、肌感覚にも大きく影響を与えている建物でもあった事と計画内容も含め、総合的に評価できる住宅として受賞したと言える。

また、今後の事ではあるが、屋根付きの半外部とした庭の植栽管理や、地域により異なる事と思われるが虫などの対処方法など、長きにわたる生活の中で工夫しながら対応されること事を期待する住宅であった。

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