各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第34回)
愛知県住宅供給公社 理事長賞
愛知県森林協会長賞
不惑の一棟

■長い歴史を積み重ね文化財となった主屋を繋ぎ調和する

2022年に国の登録有形文化財に指定された主屋、庭、接道との調和をし、別々の生活スタイルとなる建築主の新屋と主屋、深軒を通し適度な距離を作り新たな生活も作る。
そして、【魅せる構造美と用の美】となる
宮大工による設計・施工から技術の継承をアレンジし独自の技術・技法の
「社寺の業の1つ跳ね梁(桔木)による深軒」
「胴差し四式雇い臍栓打ち」
「六式格天縦残対組み」
「独自配合の左官壁」
【伝統の進化】を住宅へと変換をする。
様々な仕様と無垢材との調和を五感で感じ精神的な快適さを持ちながら、主屋同様に環境負荷や長期維持への責任にも応答し、素材の経年変化も楽しみながら主屋の時間にも寄り添うこの建物は、主屋、庭、接道との調和が地域の景観に魅力と潤いを与える建築となる。

■未来へと繋いでゆく

近年の住宅建築様式により伝統技術と技法は減少の一途をり、保持も困難な状況への危惧の念から建築主の賛同と協力により、この建築を通して県内の大学・高等技術専門校・専門職種へ伝統技術や技法を伝え、後進の育成・各職種への技術の継承などの一端となる。
そして、使用する全ての材木は県産木材の奥三河材を利用し、他の建築資材も出来る限り同郷の資材を使う事で、地域産業と環境にも貢献をする事など、伝統・文化・産業・環境へと繋ぐ建築となる。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:望月建築設計室/望月 成高

講評:審査委員 安藤 春久

この「不惑の一棟」は敷地内に登録有形文化財に指定された古民家が有り、この古民家と生活面・機能面で一体となった比較的小規模な作品である。
この建物は、最小限の機能を持たせた比較的シンプルな計画であるが、道路に面する外壁の取り扱いや、欄間から外部を開放的に見せるための工夫、大工技術の伝承を意識した天井部の「六式格天縦残対組み」等が設置されていて、特に、木材とガルバリユーム鋼鈑で構成された外壁の取り扱いについては、審査員の多くから意匠上高い評価を得た。
これらの事を考えても、大工職人としての感覚で設計された事がわかる作品でもあり、大工職人としての技術を持たない設計者には、このような建物を造ることができないと感じさせる評価の高い作品であった。

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