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すまいる愛知住宅賞 (第31回)
UR都市機構中部支社長賞
幸田町の住宅

幸田町の住宅 列柱がつくる賑やかな住空間

計画地は名古屋南方の幸田町、幹線道路から離れた静かで落ち着いた街区にあり近隣は小さいながらも庭を持つ木造2階の住宅が多く建ち並ぶ。周りを囲まれた旗竿地が敷地で夫婦と子供2人のための平屋建の住まいが求められた。そういった条件のもと閉鎖間を感じさせない空間をつくりたいと考えた。

僕は休みの日は時計を見ながら過ごす。時計を見ないで過ごす休日はテレビを見ながらゴロゴロして一日が終わってしまう。そんなことからせわしなく急いだりはしないが、時計を見ながらだとペースを掴むことができて自分にとっては充実して一日を過ごせる。この住宅は1.82m毎に柱が建ちリズムをつくりながら緩く空間を分けることで限られた空間を多様なものにしている。

材料規格から考えはじめた1.82mつまり1間はおなじみの日本の伝統的な身体モジュールでもあるが、全体を1間で計画すると十分な広さの場所ばかりではない。しかし敢えて1.82mのモジュールで計画を行った。4人掛けダイニングと掃出し窓の縁側スペースとの関係性、座位高さの畳スペースと大きな空間となるLDKとの連続性など、柱により分けられたスペースがひしめき合って混じり合う。建て方の時は均質で整然とした雰囲気だったが、家具が置かれクライアントの生活が始まりそれぞれのスペースが干渉し合うことで個性的な空間の広がりと暮らしの賑やかさが現れてきた。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:北村直也建築設計事務所/北村 直也

講評:審査委員 森 哲哉

高さを抑えた箱型の住宅は、旗竿地にひっそりと佇んでいた。内部に入ると、巧みに設けられた開口部により、広がりを感じる。1.82m毎に立ち並ぶ柱は、軽やかで、心地よいリズムを与えていた。整然とした架構の中に、3つの高さの異なる空間を設け、多様な居場所とゆとりを生み出している。空間を構成する、柱、壁、建具、家具の室礼は、日本の伝統建築の持つ美をも彷彿させる。
また、今後増えるであろう、木造住宅、古民家、集合住宅のリノベーションにも展開できる可能性を感じた。

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