各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第31回)
名古屋市住宅供給公社 理事長賞
大池薬局ビル

暮らす・働く・商う ちょうどいいくらしの提案

場所は名古屋市中区千代田。鶴舞公園から徒歩7分、自転車を使えば大須や栄にもすぐの都会的な環境で、最近はマニアックな飲食店も増加していてクリエイティブな環境です。

大池薬局ビルは暮らす、働く、商う、が立体的な関係性をもって、街のハブになるような場所として建設しました。そのためにこのビルに住む人たちのコミュニケーション装置として北と南にスキップする関係とV字に切り開く複雑な階段と中庭が緩やかに住人を繋ぎます。用途は1階テナント、2階事務所、3~5階住居の複合ビルです。間口5.5m、敷地面積100㎡で延床面積は400㎡。

北と南の街と空間の形態

中庭を中心に北と南の2つのボリュームを設け、それぞれの地域の性格に合わせ計画しました。北棟は階高を大きくし、都会的な街に開かれた開放的な空間、南棟は一般的な階高とし、下町に開く静かな環境です。

Vの字に切り込んだ中庭

中庭をVの字に切り込んだ理由は、北の部屋にも太陽の日差しを届けるためです。また、斜めの向き合い方は向かいの住人と正対することがないので緩やかな関係を生みます。切り込んだ部分に中庭と階段を設け、立体的に空間を繋げます。

多方向へ向かう階段 垂直方向の路地

多方向へ向かう階段は風景が常に変わる複雑な路地のような場所です。同一方向に回る移動手段でしかない階段とは異なり、様々な出会いを造る可能性が広がる。この複雑な階段は各階へのアプローチが多様なので室ごとに人との出会いが多彩である。

持続的な躯体とメンテナンス性

1階は地下ピットによる設備ルートを確保。上階の各室は床下スペースから西外壁側へ出し、露出配管とする。そのため、室内は広くすることができ、メンテナンスは外壁とともに改修していく。また、水廻りなどの間取り変更時にも対応できるよう配慮している。躯体のコンクリートの打ち放しは不具合も見つけやすい。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:裕建築計画/浅井 裕雄

講評:審査委員 松岡 由紀夫

JR、地下鉄の鶴舞駅、春は桜の名所である鶴舞公園から徒歩圏と交通の便が良くロケーションに恵まれたテナントと住宅の複合建物。V字に切り込んだ中庭・階段が入居者のコミュニケーションを緩やかに繋ぎ、この空間が各部屋への良き採光を注ぎ込むなど、都市部の狭小な敷地を有効利用した事がこの建物の特徴と思われる。通りかかる人々の住まい、ビジネスの関係と公共空間を持ったこれからの有効土地利用の模範になる様々な可能性と魅力を感じる。

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