各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第28回)
愛知県知事賞
ソトマで育てる、ソトマでつながる

郊外の戸建て住宅地における、境界線を跨いだコミュニケーションの場「ソトマ」を3棟で緩やかに囲む配置構成をもつプロジェクト。名古屋市近郊の日進市は、豊田市との間に位置し、70 年代以降、人口が増加し続けている。都市縁辺部に残された貴重な里山が切り開かれ、近い世代のみが入居する住宅地は、将来の衰退も予測される。それを乗り越える仕掛けが「ソトマ」、つまり外の居間である。ひな壇造成されていた敷地を、レベル差0.4mで分割し、平面的・断面的にボックスをずらしながら一室状の空間をつくる構成とした。敷地境界線が視覚的には認識されず、住民たちが行き交う風景が現れた。

緩衝装置としてのパーゴラとデッキ、掃き出し窓は各住戸の共通仕様とした。中央のベンチ+砂場は設計段階のワークショップを通して決められた。砂場の中央を敷地境界線が通る。

A棟|4つのボックスから構成される。南棟は外部テラスで、壁のみで構成される。中央棟に東、西棟が貫入し、2階の開口を介して接続する。開口は上下階のコミュニケーションのきっかけとなる。ラワン合板現し仕上、塗り壁、和紙張りなど、質感の高い、ムラ感のある素材を用いることで、光の陰影を映しだし、身体感覚を喚起する。

B棟|2つののボックスから構成される。南棟は中二階に持ち上げられた居間、北側テラスに接したダイニング、パーゴラを架けたキッチンから成る。空間として一体的でありながら、異なるレベル差により分節された感覚も得られる。北側のテラスが居心地の良い日陰空間となる。

C棟|3つのボックスから構成される。南側に多くの外壁面を作り出し、全室南面採光ができる。敷地レベルから生まれた7つの床レベルを内包する。北・南棟の2階壁面をラーチ合板仕上として、吹抜け側の仕上と対比させた。単純な構成で多様な居場所のある空間となる。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:名古屋大学脇坂圭一研究室/ヒュッゲ・デザイン・ラボ/脇坂 圭一・斉川 尚樹・神谷 亮賢・服部 奨馬・笹野 直之

講評:審査委員 笠嶋 泰

敷地規模75坪前後の戸建住宅が並ぶ住宅地に建つ、設計者が「ソトマ」と呼ぶ共用の庭を囲む3軒の独立住宅の計画です。

駐車場や直擁壁が目立つ周りの住宅に対し、本計画は開放感に満ち、緑の多い事例です。3軒の居間やDKが「ソトマ」に面し、かつ道路に大きく接する芝生の「ソトマ」には擁壁や塀がないためです。設計が居住予定者参加型で進められたため、コミュニティも育まれつつある日本における貴重な事例です。

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