各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞(第32回)
佳作
安城のアトリエと長屋

計画概要

愛知県の安城市に建つ賃貸長屋3 戸とアトリエの計画。敷地は、JR 東海道線の安城駅から徒歩10 分に位置する住宅エリア( 第一種住居地域) にあり、幅員12mと6m の市道に面する240 ㎡程度の角地である。
敷地南側は2,3 階建ての住宅が建ち並ぶ風景が続く。一方で道路を挟んだ北側は、区画整理事業区域に指定された商業地域が駅まで広がり、都市の風景が再編されようとしている。現在、豊かな緑を持った敷地北側の大正3 年に建立した神社、北東側の昭和初期に建てられたお寺の敷地も仮換地が決定し、神社の建替工事が進行し、お寺の移設も検討がなされている。 令和8 年頃に区域全体の工事は完了し、駅まで伸びる幅員20m の道路が敷地手前まで開通する予定である。( 広域図のハッチング部分が区画整理による街区予定位置)

基本構成

北側の道路は朝夕の通勤時の交通量が多いため、道路と居住スペースの距離を遠ざける計画とした。そのため地上部は北側をアトリエ、南側に各住戸の玄関を配置し、2階部は敷地をぐるりと巡る3.185m の間口をもつロの字型の建物構成とした。各住戸の居住スペース(LDK) は2 階部に納まっている。各住戸には、アトリエと住戸玄関の間にもうけた中庭を介してアクセスする。
地上部の建築する面積を小さくしてピロティにわりあてることで、どの方角からも採光と通風を確保するとともに、西側のピロティは駐車スペースとして利用できるようにした。

距離を調整するための空間

賃貸住宅を計画する上で、交通量の多い道路や変化著しい都市との関わり方さらに住む人同士の関係性に対して、距離を調整する空間が必要であった。そのような空間としてアトリエと中庭を位置づけている。
アトリエは開口部と床高さのみを設計の道具とした。具体的には、北側に地面から梁まで達する背の高い引違い窓と南側にFL=1,300 の腰壁から引違い窓を設置し、床レベルを下げた(GL-150)。執務に必要なものが腰壁上に現れてこないようにしている。吹抜には南北ともに天井までの高さの引違い窓をもうけた。この道具を使って現れる空間は、アトリエとしての空間というほかに敷地の中と外とを非対称につなげる空間として存在する。中庭からはダイレクトに街の風景へとつながり、街からは中庭の風景を背にしたアトリエの活動が浮かび上がる。
5.4m×8.6m の大きさをもつ中庭は、地表の素材と外装仕上げのみを設計している。
上を見上げるとルーフラインに切り取られた空しか見えない。中庭に面する外装は、隣地・道路側と比して反射率の高い金属葺きとし、中庭に付属するピロティの軒天もシルバー塗装として、周囲の環境が写り込む。
中庭は、ピロティを通じて周辺とつながることで住戸アプローチ、パーキングとしての実際的空間であるという他に、普遍的な外部環境をレシーブする空間として存在する。つまり、周囲のまちとつながりながら、周囲のまちとおおよそ無関係に空・光・風が建物のどこにいても感じられるという意味で、周辺のまちとの距離を調整する空間と考えた。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:然設計室/浅井 晋

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