各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第33回)
住宅金融支援機構 東海支店長賞
愛知県森林協会長賞
薬師田の住居

敷地は住宅とともに畑やビニールハウスが点在する田園集落にある。両親が所有していた畑を、道路側の半分だけ宅地化した土地である。残りの半分はそのまま畑として残し、建主の父が季節の野菜を育てている。

計画では、畑と住宅の関係性を程よい距離感で成立させることが大切であった。敷地レベルはほぼ平坦であったが、畑仕事をする父と建主一家が、お互いに程よい距離感を保てるよう、畑と建物にレベル差をつくり、さらに盛り土で築山にした前庭を設けた。

また、このレベル差を室内の温熱環境にも活用している。高く立ち上げた基礎を、土留めとして土を被せることで、床下部分を地中に近い環境にした。そこに、ダクトファンとエアコンを設置し、土間スラブに伝わる地熱と蓄熱性を期待した、全館空調の心臓部としての機能をもたせた。

プランと構造は、極力シンプルなものとし、正方形の平面の中央部に4本柱の櫓を立て、ひとつの大屋根で建物を覆った。その4本柱で区割りされた、3×3のグリッドをもとにプランを構成。4本柱に囲まれた1階の中央部には、座の空間である「茶の間」を家族団欒の中心の場とした。南東側には、玄関から階段まで続く広縁を設け、外部の庭と「茶の間」を繋ぐ窓際の居場所をつくり、さまざまな距離感で家族が居心地良く繋がれることを期待した。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:岩間建築設計事務所/岩間 昭憲

講評:審査委員 北川 啓介

ものの構成は少なければ少ないほど高度な技術や知見が必要とされる。建築物も同様で、特に、近代以降は構成の仕組みに骨組みや仕上げなどの裏材や表材が見え隠れすることが少なくない。
そうした裏表が極度に消された薬師田の住居は、庭師か工芸作家のような現物主義の設計者により、建築物の内外を通じて、意匠、構造、環境が三位一体となった力作である。諸条件の方程式を解くというよりも、建築物を構成する新しいベストな方程式を設えるかの如くである。地球と太陽から生じる熱や光や風を最大限に活かすことで、地球上のこの地に生きているという実感を日常的に多分に体感しながら住まうことができる。現地審査から数日経った今でもその時の清々しい記憶が蘇ってきて、美味しい料理をまた味わいたいぞくぞくした感覚に近い。高く評価したい。

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